先日、久しぶりに立川まんがぱーくhttps://mangapark.jpに行って一日過ごしました。
そこでとても素敵な作品に出会いました。
高浜寛という人の「ニュクスの角灯(ランタン)」という作品。
あまりに面白く、飲食忘れて没頭…
「ニュクスの角灯」は明治時代の長崎にある骨董屋を舞台にした漫画です。
パリや上海なども出てきてロマンチックな世界だったよ。
アンティークに洋行ものか…いかにも好きそうだね。
決して恵まれてるとは言えない主人公の女の子が、学びながら成長していく話で、ぐいぐい引き込まれて一緒に成長していく気持ちになりました。
それに時代背景の描写や各所に散りばめられている豆知識などがとても詳しくて面白い作品です。
自分の楽しみとして繰り返し読みたいし、子どもたちにも是非読ませたいと思った作品でした。
ニュクスの角灯(ランタン)
舞台は19世紀終わり頃の長崎です。
戦争で親を亡くした女の子、美世が骨董屋に奉公に出ることから物語が始まります。
西洋からもたらされる珍しい品々やそこで働く人々との交流の中で美世はどんどん視野を広げていきます。
初めは自信がなくてオドオドした様子の美世が学ぶにつれて自信を持ち、自立していく様が描かれています。
登場人物はどれも魅了的ですが、皆それぞれに生き辛さを抱えています。
誰も楽な人生を歩んではいませんが、皆とても優しく、明るく、前向き。
明治から昭和にかけての日本はいろんな意味で激動の時代でした。
そんな時代を逞しく生きた美世とそれを取り巻く人々の話です。
高浜寛さんの作品
「ニュクスの角灯」の魅力はストーリーだけではありません。
お話の中で描かれる時代背景や細かい描写の数々がとても詳しくて、読んでいてとても説得力があるのです。
登場人物達は架空の人物が中心ですが、中には実在の人物もいて、とてもリアルです。
日本史にあまり私は詳しくありませんが、作中に挿入されている作者の解説がとても面白かったです。
特に楽しかったのは作者によるアンティークについてのコラム。
特に好きだったのは、旗袍のコラム。
映画「花様年華」に出てきた高い襟のドレスについての記述にはグッと来た。
この作品を描くにあたって相当なリサーチをされた様子が窺われます。
そこで興味を持って調べてみたら、高浜寛さんには他にも魅力的な作品がありました。
たくさん受賞歴もあって、フランスなど海外でも人気の作家さんなんだね。
また一つ、私の世界が広がりました。
一人の少女の成長譚
主人公の美世は、人々と交流し学んでいく中で、自らの世界を広げて行きます。
初めは自信がなくオドオドしていた美世が、学ぶことで自信をつけていく過程がとても素敵です。
決して平坦な道のりではありませんし、困難もあります。
いや、困難の連続と言ってもいいかも知れません。
私は、美世と喜怒哀楽を共にしながら、19世紀の長崎やパリを旅しました。
美世の周りの人々は時には厳しく、重い言葉を投げかけます。
それは美世だけでなく、私にもズシンと響くものでした。
人々に生きる勇気を与えてくれる、そんな物語です。
楽しみながら教養も
「ニュクスの角灯」は私にとって稀な大ヒットでした。
主人公の少女、美世と共に19世紀末の長崎やパリに旅するひとときはとても楽しい読書体験でした。
いっときの楽しみだけでなく、そこから新たな世界が広がるとても知的な体験でもありました。
また新たに教養の扉が開いた感じがします。
我が家の中学生達にも是非読ませたい作品です。
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