もうすぐお月見です。
図書館にはたくさんの月の絵本がありますね。
月はいつも人々を惹きつけて来たのだなと思います。
私は夜空に浮かぶ大きなお月さまを見上げるといつもほっこりした気持ちになります。
雨戸を閉める時、あるいは帰路で、ふいに月を見つけると、嬉しくなります。
そしてそれを子どもたちと共有できる幸せをほんのひと時味わいます。
今回は我が家のライブラリーから私のお気に入りの月にまつわる絵本をご紹介します。
ベッドに入る前のひと時に、是非。
「つきのぼうや」
「つきのぼうや」
イブ・スパング・オルセン 作・絵
やまのうち きよこ 訳
福音館書店 1975年
縦に細長い形と水色が印象的なロングセラー絵本です。
鉛筆で描かれた繊細な「おつきさま」の絵に惹かれて手に取ったことをよく覚えています。
元々は1960年代に出版されたデンマークの絵本で、日本の感覚とは少し違う、でもとても素敵な世界観で綴られている絵本です。
日本語の文章はとても美しく、優しさに溢れています。
特に「おつきさま」の佇まいがとても素敵です。
「おつきさま」にはえもいわれぬ品があり、美しい絵と言葉でそれが表現されています。
主人公の「つきのぼうや」もとても可愛らしくて、私は大好きです。
縦長の絵を上から下へ、下から上へ辿りながらお話を楽しみます。
裏表紙の裏面には人々が「おつきさま」を見上げる絵が描かれています。
お話を読み終わった後、最後にその絵を見ながら夜空の月を思います。
最後の余韻までしっかり楽しめる絵本です。
「きょうは そらに まるいつき」
「きょうはそらにまるいつき」
荒井 良二 作・絵
偕成社 2016年
人気絵本作家、荒井良二さんの一冊です。
お話も絵もとてもシンプルです。
みんなの上に丸い月が光っている様子が描かれています。
「みんなの」というのが大切なポイントです。
荒井良二さんの眼差しは、動物たちにも赤ちゃんにも若者にも年寄りにも等しく優しく注がれます。
それぞれのささやかな一日を慈しむように月が照らしています。
所々に挿入される赤ちゃんの描写からはこの世に生まれてくる喜びを感じます。
何気ない一日だったけれど、「ああ良かったな」と心から思いながら、一日を終えられそうなお話です。
この本は母が私の娘のためにプレゼントしてくれました。
素敵な本を選んでくれた母の愛情がとても嬉しい一冊です。
「お月さまのこよみ絵本」
「お月さまの こよみ絵本 旧暦で行事をたのしむ」
千葉 望 文
阿部 伸二 絵
理論社 2017年
普段私たちが使っている太陽暦のカレンダーと旧暦(「お月さまのこよみ」)の違いを説明するところからこの本は始まります。
月の満ち欠けを基準にした日本伝統の暮らしの様子を紹介しています。
かと言って遠い昔のこととせず、今の暮らしに当てはめて紹介していて親しみやすい内容です。
お正月からの一年間が「お月さまのこよみ」で絵と文章でわかりやすく描かれています。
元々は夏の行事だった端午の節句や、秋の夜空に楽しむ七夕祭りのことなど、色々と学ぶことができます。
太陽暦、旧暦どちらの良さも説明した上で、日々の暮らしに新たな楽しみを与えてくれる内容です。
ルビが振ってあるので小学校中学年くらいからは自力で読むことができそうです。
易しい語りで押し付けがましくなく、すんなりと頭に入るのでこの手の本としてはわかり易いと思います。
内容の理解は高学年くらいにならないと少し難しいかもしれません。
子どもが小さい内は親が参考にして日々の暮らしに役立てる本として楽しめます。
子どもがある程度大きくなったら自分で読んで楽しめます。
その時にすでに家庭内で旧暦の行事を少しでも実践できているとなお素敵ですね。
実体験と本での知識がリンクした時、子どもに教養の引き出しが一つ加わります。
…少し脱線してしまいました。
難しいことは抜きにして、単純に夜空の月を見上げる楽しみを堪能できればそれで良し。
盆踊りや七夕の時に月を探して考えてみる、そんな楽しみ方を教えてくれます。
まとめ
今回ご紹介した3冊はざっくりと芸術的観点で描かれた本と科学的観点から描かれた本に分けられます。
- 芸術的観点から月を楽しむ
→ 「つきのぼうや」と「きょうはそらにまるいつき」 - 科学的観点から月を楽しむ
→ 「お月さまのこよみ絵本」
月に限らずどんな物にも言えることですが、この両方の観点から知ることで物事への理解はグッと広がります。
子どもを才能豊かに育てる一つのポイントはそこにあると私は思っています。
「つきのぼうや」と「きょうはそらにまるいつき」は幼児から十分楽しめます。
是非3冊とも読んでみて下さいね。
世界に羽ばたく心を育てる
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